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2017年11月17日

新たに発見した血管周囲神経によって負担の少ないガン治療へ応用を目指す

血管周囲神経の増殖と腫瘍の変化を観察する

血管周囲神経は神経成長因子という物質(NGF)によって生命を維持し、分布します。そこで腫瘍細胞を移植したヌードマウス(腫瘍の移植に拒絶反応を示さないマウス)にNGFを投与して、腫瘍増殖を観察する実験をしました。その結果、腫瘍の増殖が止まり、マウスは生きながらえることができました。しかも腫瘍の新生血管には神経が分布し、筋肉(平滑筋)が多く見られ、丈夫になっていました。腫瘍が消えたわけではありませんが、成長が止まったのです。これらのことから、新生血管に血管周囲神経を分布させれば、血液の供給が抑制され、腫瘍の増殖を押さえることができる。血管を丈夫にしておけば、ガン細胞は成長できないのでは、と考えています。
 また、研究のなかでのエピソードのひとつとして、今でも忘れられないことがあります。私が発見した血管拡張性神経はカプサイシン感受性の神経です。カプサイシンは、唐辛子の辛味成分で、ピリッとした辛味、熱く感じる感覚を起こします。このカプサイシンを用いると、拡張性神経の機能が消失することを発見しましたが、その代わりに大変な目にも遭いました。カプサイシンの性質について無知だったので、扱い方に注意しなかったため部屋中に広がり、くしゃみ、鼻水、涙が止まらず大変でした。おまけにトイレに行ったら…そのあとの苦しみは想像におまかせします。

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