経済構造を科学的に明らかにし、望ましい政策をデザインする
規範となる金融政策の理論的構築を目指して
日本経済はバブル崩壊とともに大きな景気後退を経験し、その後、マイルドなデフレを長期間経験してきました。ゼロ金利政策や量的緩和政策に代表される非伝統的金融政策は日本が最初に行いましたが、2008年の米国の金融危機後、先進各国もゼロ金利政策を経験することとなりました。失われた10年といわれた日本経済の問題はもはや世界中が直面する困難な課題となり、経済政策は難しい舵取りを迫られています。
これらの問題に対して、近年多くの先行研究がゼロ金利制約を入れた理論モデルを構築し分析を行っています。先進各国が非伝統的な金融緩和政策を続けるなかで、伝統的な金融政策のように規範となる政策を理論的に示すことができるのかという問題は、世界的に注目されていると言ってもいいでしょう。
ゼロ金利制約の導入は、解析において非線形性という困難な問題を生じさせます。大学院生中に身につけた数値計算の手法を応用し分析していくことで、マクロ経済学的にその経済構造を科学的に明らかにしながら、科学的に望ましい政策の分析をしていくことが、この分野への自分なりの貢献ではないかと思い、現在の研究に至っています。
大学院時代に読み込んだ金融政策と数値計算のテキスト。理論モデルの基礎や、シミュレーションの技術を身につけるのに役立った。
経済学部講師
蓮井 康平 HASUI Kohei
略歴
1987年 大阪府生まれ
2010年 兵庫県立大学経済学部卒業
2012年 神戸大学大学院経済学研究科博士課程前期課程修了 修士(経済学)
2015年 神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了 博士(経済学)
2015年―2016年 神戸大学大学院経済学研究科学術研究員
2016年 松山大学経済学部講師(現在に至る)
教授のオフタイム
シャーロック・ホームズ
オフタイムには、コーヒーや紅茶を飲みながら本を読みます。よく読むのは、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズ。シャーロック・ホームズのウィットに富み、人間味にあふれているところが気に入っています。科学的な視点から書かれていることも多く、小説でありながら少し勉強した気分にも。経済学者にはホームズ好きが多いと聞きますが、私もそんな人間の一人です。
この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.196でご覧いただけます。
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