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2018年08月30日

世界の趨勢と現場に即した成年後見制度を考察する

成年後見制度が抱える矛盾と様々な問題

取引を有効に成立させるためには、”本人が意思決定できる”というのが前提です。民法上では契約などの法律行為を単独で確定的に有効に行うためには、完全な「行為能力」が必要です。行為能力が制限されている人(成年被後見人など)は契約を単独で行うことができません。そのような行為能力が制限されている人を補助し、法律的に支援する制度が成年後見制度です。
 成年後見人等は成年被後見人等が契約をしていいのか判断するときに補助したり、通帳や印鑑などの財産管理を補助したりするほか、成年被後見人等ができないことを「代理」という制度によって成年被後見人の代わりにします。しかし2013年に日本が障害者権利条約を批准したことにより、「代理」の意義が問われることになりました。
 障害者権利条約12条の主旨は、”本人の自己決定を尊重し、その意思決定を援助する”というものですが、「代理」がその主旨に反するからです。
 本人が意思決定できない認知症患者が手術を受けなければいけない場合に、手術の同意書に成年後見人がサインする権利は、現行法では認められていません。医師は独断で手術を行うことはできないので、成年後見人が同意書へのサインを求められる場合が多いが、その責任の重さを感じることから拒否する場合もあります。仮にサインしたとしても、果たしてそれが法的効力を有するかも疑問です。
 かつては親族が成年後見人になることが多かったのですが、少子高齢化に伴い、親族後見人が激減し、第三者後見人が急増しました。今後、制度を存続させるためには、成年後見人のなり手を確保することが急務となります。

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