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2019年12月12日

株主提案権の適正な運用は株主総会の活性化と企業成長につながる

建設的な対話を促進する規律の構築を模索する

会社法(商法)は、法体制を体系化してルールとした大陸法と、判例を中心に集約してルールとした英米法に大別されますが、日本の場合は、大陸法をベースに英米法的な改正が多くなされています。しかし、株主提案権に関して、アメリカではSEC(証券取引委員会)が株主からの提案をある程度選別することができますが、日本にはそういうルールがなく、比較的簡単に提案することができてしまうのです。
 もちろん、株主総会でいい意見を言ってくれる株主もいます。株主が積極的に株主総会に参画し、本気で会社の経営について考えるようになれば議論が活性化し、経営も良い方向へと向かっていくはずです。開かれた株主総会、できるだけ大勢の株主に参加してもらえる株主総会として、ハイブリッド型ヴァーチャル総会を導入するという話も出てきています。また、外国の会社経営者には〝会社は株主のもの〞という意識が強くありますが、日本の経営者の多くは会社を自分たちのものだと考えていて、そのあたりの意識改革も不可欠です。
 このように株主提案権の行使により、本来あるべき株主と経営陣との「建設的な対話」を促進するため、日本および諸外国の法律・ルールの運用実態がどうなっているか調査・検証を重ねながら、※ハードローとしての会社法だけではなく、コーポレート・ガバナンス・コードなどの※ソフトローを含めた規律が必要と思われます。

学生時代に使用した商法科目(総則・商行為法、会社法、手形・小切手法、保険法)の教科書・六法等。

法学部法学科教授
内海 淳一 UTSUMI Junichi

略歴

1960 年 福岡市出身
1988 年 福岡大学法学部卒業
1990 年 福岡大学大学院法学研究科博士課程前期修了
1993 年 福岡大学大学院法学研究科博士課程後期満期退学
1994 年 福山平成大学経営学部経営法学科専任講師
2003 年 松山大学法学部助教授
2008 年~2009年 SMU(サザンメソジスト大学)Dedman School of Law客員研究員
2015年~ 2016年 法政大学法学部客員研究員
2019 年 松山大学法学部教授(現在に至る)

この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.203でご覧いただけます。

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089-926-7140

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