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2016年07月31日

ヒノキ科花粉を計測し統計学的に解析 飛散予測と初期療法の有効性を検証する

増え続ける花粉症患者のQOL(※)向上の貢献を目指す

私は、病院勤務していた頃に花粉症に対して興味を持ったため、病院勤務を続けながら大学院で研究を開始しました。仕事と研究の両立は厳しく、研究を継続できるかどうかという不安がありました。 また調査を始めて2〜3年の頃、山に登ってスギ花粉やヒノキ花粉、ネズ花粉を収集し、スクラッチテスト液を作成して患者さんに使用することで、抗原物質に関する研究を行い
ました。その結果、「ネズ花粉症」という新しい花粉症の発見に至りました。しかし、花粉を集める際に大量に暴露され、研究を始めた3年後には、一緒に研究していた仲間全員が花粉症になり、花粉エキスを用いた研究は継続を断念せざるを得なくなりました。

スギ花粉症の患者さんは1988年の16.2%から2008年の26.5%へと、10年間で10.3%増加していることが報告され、当時からスギ花粉症は国民病といわれています。現在はさらに多くの患者さんが居られると思いますので、年間のヒノキ科花粉数、日々の花粉の飛散数を予測して情報提供することは、予防医学の観点からも重要です。

日々のヒノキ科花粉の飛散状況を患者さんに伝えることで、初期療法の開始時期に有効なことが判明すれば、花粉症患者さんの生活の質をあげることに役立つと考えています。松山市では年々増減を繰り返しながら増加傾向にあり、2017年は4年に一度の大量飛散の年にあたりますので、この予測が当たらなければ良いがと願っています。

※クオリティ・オブ・ライフ:一人ひとりがどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生を幸福だと思っているかということを計る考え方。健康や教育、仕事、住環境、人間関係、遊びなど、さまざまな見方から計られる。

薬学部教授 博士(薬学)
難波 弘行 NAMBA Hiroyuki

略歴

1953年 岡山県倉敷市生まれ
1977年 大阪薬科大学 卒業
1977年 薬剤師免許取得
1978年 大阪薬科大学第一薬化学研究室 研修生修了
1979年 倉敷市立児島市民病院薬局
1998年 東邦大学大学院薬学研究科博士後期課程薬学専攻 入学
2001年 東邦大学大学院薬学研究科博士後期課程薬学専攻 修了 博士(薬学)
2005年 倉敷市保健所生活衛生課 主幹
2007年 倉敷市立児島市民病院薬局 主幹
2008年 松山大学薬学部 教授

 

中四国空中花粉研究会などと共同研究を重ね、執筆した論文をまとめて発行した著書も多数ある。


この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.190でご覧いただけます。

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