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2016年10月31日

勤務医の年休未取得についての見解を示し 取得率向上に寄与するシステムを模索する

過重労働を強いられる労働環境の改善に寄与

医師の無休暇は自身の健康への悪影響はもとより、業務遂行能力を低下させ、医療事故を誘発する危険性があることが多くの研究で示されています。日本医労連(2007)によると、30.9%の医師が厚生労働省の過労死認定基準が目安とする月80時間の時間外労働を超えており、さらに日本病院会の勤務医に関する意識調査(2007)によれば、88.7%の医師が当直の翌日も普通の勤務をしていて、71.0%の医師が慢性疲労を訴えています。また労働政策研究・研修機構(2011、2012)の調査結果によると、年休を1年間に1日も取っていない医師の割合は一般労働者に比べて2倍近くになっており、労働時間を規制する、休暇を取得しやすくするなどの労働環境の改善が急がれています。

しかし私が2015年に実施した医師の年休調査の結果は、日本医労連と労働政策研究・研修機構の年休取得の調査から改善傾向は見られません。近年は、医師の病院に対するコミットメントが「年休を取得しない」ではなく「年休を取得できない」という認識に変わってきており、医師の年休取得促進に寄与する調査・研究が求められています。

最終目的は、この年休未取得までの一連の流れについての見解を示し、年休取得に必要な合理的な交代制勤務のモデルシステム等の立案と、これを普及することにあります。これにより、年休が取得しやすい医療現場の環境づくりにつながることと考えています。

経済学部准教授 博士(人間科学)
井草 剛 IGUSA Go

略歴

1980年 東京都生まれ
2012年 早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了 博士(人間科学)
2013年 桜美林大学リベラルアーツ学群 非常勤講師
2015年 4月より松山大学経済学部講師、同年10月より准教授

 

 単著

『人的資源管理と年休の社会学』三恵社 / 2014年

 

国際会議

「Relation between Total Factor Productivity and Utility of Japan’s Forestry Industry」(共同、ASAA 2016 Conference / 2016年)
「Pedagogical innovation for the acquisition of mathematical knowledge for improving students’ understanding of economics in Japanese higher education」(共同、21st European Economics Education Conference / 2016年)

 

『人的資源管理と年休の社会学経済学理論を手がかりとして』(著者:井草 剛、株式会社三恵社、2014年発行)


この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.191でご覧いただけます。

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