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短期大学

入学式式辞

平成29年度 松山短期大学入学式 学長式辞

新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。また、御臨席いただきました保護者の皆様方に心よりお祝いを申し上げます。ここに、各界より御来賓の方々の御臨席のもと、松山短期大学の入学式を挙行できますことは、皆様方の御助力の賜物と、厚く御礼を申し上げます。
 新入生の皆さん、そして、保護者のみなさま、数ある高等教育機関の中から本学を選んでいただき、ありがとうございます。教職員一同、これから始まる皆さんの学生生活が豊かで実り多いものとなるよう、御期待に添えるよう、力を尽くしていきます。新入生の皆さん、2年間という短い時間ではありますが、一緒に頑張っていきましょう。
 さて、今日から皆さんは学校法人松山大学が設置している松山短期大学の一員となります。そこで本学の成り立ちについて、少し長くなりますが触れておきたいと思います。
 本学は、1952年(昭和27年)に創立されましたが、本学には、その前身として、旧制の松山高等商業学校と松山経済専門学校があります。旧制というのは、第二次世界大戦後、学制改革が行われる以前に、我が国にあった教育制度のことで「ふるい制度」という意味があります。
 いまから100年近く前、1918年(大正7年)の第一次世界大戦終了後、一時的に戦後の好況がありましたが、1920年(大正9年)には、戦後恐慌とよばれる不景気が日本の経済を直撃していました。1920年代は総じて厳しい経済状況が続くのですが、その中で、社会全体としての高等教育への需要が高まりました。愛媛県においては、本学の前身である松山高等商業学校設立の機運が盛り上がりました。しかしながら、学校創設には多額の費用がかかります。資金面で計画が上手く行かなくなりそうになったときに、松山出身の企業家で、大阪に出て大成功をおさめられた富豪、新田温山こと新田長次郎氏が多額の私財を寄附してくださいました。さらに、地域の政界からは俳人正岡子規の伯父で、当時の松山市長加藤恒忠氏、また、教育界からは旧制大阪市立大阪高等商業学校校長を経て私立北予中学校長であった加藤彰廉先生ら、現在「三恩人」と称えられて学内に胸像が建てられている方々を中心に、多大なる努力が払われた結果、1923年(大正12年)私立の松山高等商業学校が創設されたのでした。その後、第二次世界大戦の法律改正により1944年(昭和19年)に松山経済専門学校と名前を変えましたが、「旧制度」に基づいた専門学校として、引き続き高度な実業教育が実践されていました。
 その後日本は戦争に負けて、占領軍の管理下に置かれます。その指導のもと、1949年(昭和24年)には、新しい学校教育法が作られ、新制大学の制度が始まりました。旧制のときに修業年限が3年であった高等教育機関は、4年制の大学に移行するか、2年制の短期大学に移行するか選択できましたが、松山経済専門学校の場合は、教授陣からも学生諸君からも大学に昇格すべきであるとの意見が出され、かねてより関係の深い新田家の意向も反映した上で、4年制の新制大学に移行することになりました。戦争からの復興と並行するかたちで、校舎の再建工事など多額の資金が必要となりましたが、商工会議所や生徒父兄会、同窓会組織の温山会が中心となって広く寄附を募り、着々と計画を進め1949年(昭和24年)には、新制大学の松山商科大学が誕生しました。
 この設立当初、同時に短期大学を併設する計画がありましたが、当局との考え方の違いから見送られました。しかしながら、新制度の定時制高校に在学する勤労青年を中心に、夜間短大開設を要望する声は強く、愛媛県と松山市からの助成金も得て、1952年(昭和27年)には、松山商科大学に、夜間に開講する修業年数二年の短期大学部が併設校として開設されました。時代が流れ、1989年(平成元年)に、学校法人が松山商科大学を松山大学に改称した際に、松山短期大学と改称し、現在にいたっています。
 このように本学の成り立ちについてお話をしたのは、本学園の建学の精神、校訓「三実」についてお話をしたいからです。本学の校訓は「真実」「実用」「忠実」の三つの「実(じつ)」です。これは旧制時代の初代校長加藤彰廉先生が唱え、三代目校長田中忠夫先生が次のように解説されていて、本学が育みたい人物にどのようなことを大事にしてほしいかを表したものです。
まず「真実」とは「真理に対するまことである。皮相な現象に惑溺しないで進んでその奥に真理を探り、枯死した既成知識に安住しないでたゆまず自ら真知を求める態度である。」とあります。常に物事の本質・真実を求め続ける姿勢を大事にせよということであります。
 次に「実用」とは「用に対するまことである。真理を真理のままに終わらせないで、必ずこれを生活の中に活かし社会に奉仕する積極進取の実践的態度である。」とされます。実生活の中で活かしてこそ、真実追究の意義があるのだということであります。
 最後に「忠実」とは「人に対するまことである。人のために図っては己を虚うし、人と交わりを結んでは終生操を変えず自分の言行に対してはどこまでも責任を取らんとする態度である。」とされています。ひとりよがりな自分勝手をしない、いったん築いた人間関係を簡単に捨てない、自分の言葉に最後まで責任を取る、といった、良き社会人としての態度が求められています。
 学校教育法第百八条では第一項に「大学は、第八十三条第一項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる。」とあり、第二項と三項で「その修業年限を二年又は三年とする」「大学は、短期大学と称する。」と定められています。第八十三条第一項には「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」とありますので、短期大学の方が、研究より「職業又は実生活に必要な能力」すなわち実学志向が強いといえます。校訓「三実」にある「実」すなわち「まこと」が重要なのです。
 21世紀に生きている私たちは、グローバル化や情報化、環境問題など地球規模の課題、民族紛争やテロ問題など、様々な問題に曝されており、ともすると怖じ気づいてしまうかもしれません。しかしながら、本学の歴史からも見えてくるように、これまでも世界は決して安泰だったわけではありません。その時々に様々な困難があり、その課題に対して真剣に向き合い、生きる道を探り続けることこそが、私たちの先人が歩んできた道なのです。そして、その際の道しるべとなるのが知識であり、校訓「三実」に結晶している「まこと」を追求する態度であると思います。2年間は長いようで短く、短いようでも使い方次第では今後の長い人生を生き抜くすべを身に付けるには十分な期間です。本学の恵まれた学習環境と職業人としての経験豊かな教授陣のもとで、学業に、また、課外活動に充実した学生生活を送られることを期待します。
 本日は御入学まことにおめでとうございます。

平成29年4月3日 松山短期大学
学長 上杉 志朗

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