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短期大学

卒業式式辞

平成28年度 松山短期大学 卒業証書・学位記授与式 学長式辞

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 ご多用のところご参集くださった、ご父母の皆さま、ご来賓の各位、学校法人松山大学の役員の方々に厚く御礼申し上げますとともに、松山短期大学の教職員一同を代表して、心よりお慶び申し上げます。
 本日このよき日を迎えることができたのは、第一には、卒業生諸君が学業において精励を重ねたことに拠りますが、同じように重要なのは、諸君らを見守り、時には厳しく、時には優しく導いてくれた方々のおかげであると思います。感謝の気持ちを捧げたいと思います。
 さて、現代社会は大きな変化に曝されています。たとえば、皆さんの記憶にも新しいと思いますが、昨年11月にはアメリカの大統領選挙が行われ、それまでの民主党に代わって共和党のトランプ氏が勝利し、今年の1月から大統領に就任しました。メキシコとの間に壁を築くとか、選挙期間中から極端に思える発言が注目されていましたし、就任してからも、初の記者会見では、質問をしようとした記者に対して「Fake(偽物)メディア」という強い物言いをして物議を醸しました。しなしながら注目すべきは、「America First」すなわち「アメリカ第一主義」です。国家の最高指導者として自国を第一に考えることは決して間違っているとは言えません。しかし、他国のことをよそにおいて、自国の利益だけを優先させることに注力するとなると話は別です。アメリカは世界最大の経済規模を持つ国ですから、他国に与える影響は、単に自国を守るという論理からだけでは片付けられないからです。わたしたちは、前世紀初頭の大恐慌とそれに続く自国最優先主義が、第二次世界大戦につながる道筋を作っていったことを歴史から学ぶ必要があります。
 さらに、大きな変化はわたしたちの働き方にも影響を与える情報通信技術すなわちICTの革新にも見ることが出来ます。世界最大のICT企業のひとつGoogle社の開発した人工知能「AlphaGo」は囲碁というコンピュータが苦手とされてきた直感的な能力が要求される分野においても、人工知能が人間に勝つことができるということを実証しました。人間の仕事は人工知能やロボットにどんどん置き換えられていってしまうのでしょうか。
 わたしは、2年前に入学された方々には、入学の式辞の中で、世界は決して安泰だったわけではなく、その時々にさまざまな困難があり、その課題に対して真剣に向き合い、生きる道を探り続けることこそが、私たちの先人が歩んできた道であり、そして、その際の道しるべとなるのが知識である、と述べました。そして、2年間は長いようで短く、短いようでも使い方次第では今後の長い人生を生き抜くすべを身に付けるには十分な期間であると述べました。松山短期大学の学生生活を通して、皆さんは何を身に付けることが出来ましたか。校訓「三実」に基づく教育が皆さんに根付いていることを期待します。
 卒業生の皆さん。皆さんが卒業されるにあたり、校訓「三実」について、いま一度思い起こして頂きたいと思います。それは、「真実」「実用」「忠実」です。
 学校法人松山大学の前身である私立松山高等商業学校の初代校長加藤彰廉先生が定められ、第3代校長田中忠夫先生は、それぞれを解釈して「真実とは、真理に対するまことである。皮相な現象に惑溺しないで進んでその奥に真理を探り、枯死した既成知識に安住しないでたゆまず自ら真知を求める態度である。」とおっしゃり「実用とは、用に対するまことである。真理を真理のままに終わらせないで、必ずこれを生活の中に生かし社会に奉仕する積極進取の実践的態度である。」とおっしゃいました。そして「忠実とは人に対するまことである。人のために図っては己を虚うし、人と交わりを結んでは終生操を変えず、自分の言行に対してはどこまでも責任をとらんとする態度である。」とされています。
 今から90年近い昔の言葉でわかりにくいかもしれません。「真実」と「実用」は要するに「真実は常に変化するかもしれないが、真理である本質を追及し続け、実践に応用していきなさい。」ということです。諸君が松山短期大学で学んだことは単なる専門知識だけではありません。卒業後も精進を続け、時代や状況の変化に対応して実践的に生き抜く力なのです。
 そして何よりも大切なのが「忠実」すなわち「自分のことよりも相手の立場に立って物事を進め、自分の言葉には最後まで責任をもって実現しなさい」ということです。「はたらく」という言葉を「傍」すなわち相手を「楽」にすることだ、という語呂合わせで説明される方がおられます。上手な表現だと思います。人に対するまことを実践する上で覚えておきたい事です。アメリカ第一主義を掲げて内向きになる国家がある一方で、自分の事だけを考えるのではなく、お節介かもしれないけれど、「傍」が「楽」になるように生きることには大きな意味があるのだということを忘れないで欲しいと思います。
 卒業生の諸君。今年度の卒業生83名を加えると、松山短期大学の卒業生は6,700名近くになります。一人ひとり進路は違っても、同じ学び舎で学んだという事実はひとつです。諸君は諸先輩方とつながっていくのです。さらに言えば、諸君らは学校法人松山大学の卒業生の一員であります。そして、学園の創立に際し大変な功績のあった新田長次郎氏翁の雅号「温山」を冠した、同窓会「温山会」の一員になるのです。
 英語で、高等教育機関の卒業式は「Commencement」といいます。「始まり」ということです。今日この日を始まりの日として素晴らしい人生を切り拓いていかれることを祈念して式辞といたします。

平成29年3月15日
松山短期大学
学長 上杉志朗

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