医療薬学研究科在学中は、脳由来神経栄養因子(脳内の栄養素のような蛋白質)の産生を促す植物性化学物質の探索と作用機序の解明を細胞・個体レベルで行っていました。研究は、世界中の誰も知らない、誰もやったことのないことへの挑戦なので、本質的には孤独な戦いです。

実験系は適当か、成果が出るのか、と不安は絶えませんが、メンターからの指導・助言を元に試行錯誤を繰り返し、得られた結果から論理的考察を積み上げることで自分しか知らない事実を摑める時が来るはずです。この一連の過程の中で、深い専門知識、自由な発想力、課題発見力・解決力、論理的思考力が自ずと身に付きます。近年の創薬・医療技術の高度化は人々の生活を豊かにする一方、ときに、私達が経験したことのない課題を生み出すことがあります。医療に携わる者はこのような課題の解決策を模索し、患者利益となるように行動しなければなりません。博士課程で体得した“力”はこのような状況において、必ず役立つはずです。医療薬学研究科には博士号(Ph.D.)取得を志す薬剤師のスキルアップの場として、素晴らしい環境が整っています。