超大国アメリカを様々な視点で深掘りし、他国(他者)への学びを通して自国(自己)の果たすべき役割を見出す。
≪今回お話を伺った方≫


※学生の年次は取材時のものです。
民主主義を目指す大国アメリカを多面的に捉える
「アメリカ研究」や「英米文学概論」を担当する辻祥子教授のゼミでは、「『民主主義』国家アメリカの行方」を全体のテーマとして研究を進めている。森山さんは「アメリカが世界に及ぼす影響を日本側の視点で客観的に捉え、現在の世界情勢に対する理解を深めたい」と辻ゼミを志望。3年次ではまず、アメリカの歴史や多様な文化を学ぶ一方で、アメリカ社会の理想と現実、表層と深層のずれや矛盾を探っていく。
3年次前期の終わりには、各自が気になるアメリカ映画の内容を英語と日本語のスピーチにして紹介する機会を設けており、「他のゼミ生のプレゼンを聞いて興味をもった作品は、あとから自分で鑑賞しました。映画の背景に描かれているアメリカ社会、政治、文化に目を向けることで視野も広がりました」と大塚さん。その後、3年次の学びの総括として「アメリカとはどういう国か」というテーマでレポートを作成する。「表面には見えていなかったアメリカの多様性や矛盾を取り上げる学生が多く、一人ひとりのアメリカ理解が進んでいることを実感します」と辻教授も彼らの成長に目を細める。
他者理解を深め自らの役割を見出す
4年次は「戦争と日米関係」という、もっとも重いテーマを取り上げ、アメリカの長い戦争史を辿ったあと、日本は核保有国アメリカとどう関わっていくべきなのかについて議論を深めていく。
アメリカ(他国)を知るということは、自国や自分のあり方を考えること。「超大国アメリカのすべてを理解することは難しい。しかし、アメリカから遠く離れている我々だからこそ、客観的な視点からその問題点に気付くことができる。するとおのずから、アメリカに追随する日本の問題点も見えてくる。社会に出てからも、情報の真偽を見極めながら、世界の中の日本の役割、ひいては社会の中の自分の役割を考えてほしい」と辻教授は願っている。「ゼミを含む大学で学んできた経験やスキルは、他者への関心を忘れず、正しい理解のために情報収集・分析といったアクションを続けることを促してくれます」と桑名さん。山本さんも「アメリカの様々な側面を学ぶなかで、黒人の抱えている問題に興味を持ち、人種差別の実態をより正確に把握するという卒業研究のテーマが見えてきました」と手ごたえを口にする。辻教授の願いを指針としつつ卒業研究に取り組むなかで、学生たちは国際社会での日本の立ち位置を見極め、社会における自らの役割を見出す力を身につけていく。
私たちが辻ゼミを大好きな理由
(1)辻先生の熱心で懇切丁寧な指導が魅力!一人ひとりに向き合ってくださいます。
(2)様々な視点からアメリカを学び、興味関心を広げることができます。
辻 祥子教授から学生たちへのメッセージ
超大国アメリカという巨大な「他者」の魅力と問題点、隠された真実を一緒に探っていきましょう。コロナ禍で一時中断していましたが、今年は3年次生、4年次生とも西宮の温山記念会館へのゼミ旅行を再開します。辻ゼミで25年近く続いている夏の恒例行事です。


この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.218でご覧いただけます。