2025年7月15日(火曜日)、法学部の松田龍彦准教授の「刑事訴訟法」の授業に株式会社輝城代表取締役の栗田雅則氏をゲストスピーカーとしてお迎えし、更生保護の実態と企業による支援の取り組みについて講演していただきました。講演では、元受刑者の社会復帰を支える更生保護制度の概要から、企業が果たす役割、そして「誰ひとり取り残さない社会」の実現に向けた課題と希望について語られました。
講演の前半では、更生保護法人の役割や全国の保護施設の実態について説明がありました。栗田氏は、罪を犯した人々が社会復帰するためには、地域の理解と支援が不可欠であり、「衣食住の確保が社会復帰の第一歩」であると強調し、住居のない元受刑者に対する支援の重要性を訴えました。
後半では、会社経営者として元受刑者を雇用してきた実例を紹介。実際に雇用した元受刑者の作文を基に、社会復帰の困難さや偏見の壁について語り、再犯を防ぐためには生活面での支援が不可欠であることを強調しました。
また、栗田氏が経営する企業では、障がい者やトランスジェンダーの方も含め、誰もが平等に働ける環境づくりを進めており、「平等こそが再生への近道」との考えが示されました。
講演の最後では、「人に対する思いやりと優しさを持つことが、社会を変える力になる」と学生たちに向けてメッセージが送られました。栗田氏は、教育によって若い世代の差別に対する意識が変化していることに希望を見出し、「10年後、15年後には日本社会が大きく変わる」と述べました。
今回の講演は、更生保護の制度的な理解を深めるとともに、企業による支援の実例を通じて、社会復帰の現実と課題に向き合う貴重な機会となりました。

