未来の医療人を目指す薬学部生へ贈るメッセージ『歯学概論』

2025年10月16日(木曜日)8時30分より、本学文京キャンパスにて、薬学部の医薬品情報学を履修する2年生を対象に、本学卒業生で歯科医師の勝島康次郎氏を講師に迎えて「歯学概論」と題して講義が行われました。

講義の前半では、「マイナス0歳から8020へ・年代別口腔内&疾患別概説」をテーマに、歯の形成が胎児期(マイナス0歳)から始まること、そして成人までの口腔内の成長や発症しうる症状について、豊富なイラストや症例写真を用いてわかりやすく解説されました。妊娠・出産期における母体のカルシウム代謝やホルモン変化、歯肉炎・虫歯リスクの増大といった科学的メカニズムを示しながら、誤解されがちな俗説を丁寧に解きほぐされました。途中には、芸能人の口元を題材に特徴を読み解く「口元四方山話」も挟まれ、歯科医師ならではのユーモアあふれる話に、学生たちは興味深く聞き入っていました。
後半では、歯牙や口腔内の状態から疾患を鑑別できることや、全身の健康と口腔の深い関わりについて、実例を交えながら解説。特に「8020(80歳まで20本以上の歯を保つ)」の重要性に触れ、噛むことが健康を支え、生活の質を維持・向上させる大きな要素であることを強調されました。
さらに、令和4年度改訂版の学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて、初めて「口腔ケア」が明示的に位置づけられたことにも触れられました。臨床薬学分野では「患者の状態を考慮した栄養管理、口腔ケア、生活指導」が学修項目として掲げられており、薬学と歯学の連携の重要性を改めて示されました。
講義の締めくくりには、「常に患者さんの立場になり、インフォームド・コンセントを大切にすることで信頼関係を築いてください」と、薬学部生への温かいメッセージが送られました。

学生たちにとって「歯学」は普段触れる機会の少ない分野でしたが、勝島氏の明快なスライドと語り口に導かれ、メモを取りながら熱心に学ぶ姿が見られ、有意義な90分間となりました。

勝島氏は1969年に本学の前身である松山商科大学経済学部を卒業後、京セラ株式会社を経て福岡県立九州歯科大学(現・公立大学法人九州歯科大学)へ進学。卒業後は総合病院勤務を経て、1980年に広島県尾道市で「勝島歯科医院」を開業されました。現在も第一線で活躍される一方で、温山会尾道支部長として本学卒業生のネットワークにも尽力されています。

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