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松山大学東京オフィス

校訓「三実」と先輩

三興塗料株式会社 会長 清水睦雄先輩(昭和30年 大学 商経4回卒)

校訓「三実」をモットーに会社を興した ~「三実」に従って行えば必ず社会に認められる立派な会社になる~

「大学時代に6人の友人と出会えたことで、花が開いた。」と語る清水先輩は、今年で90歳。高校までは内気で話すのが下手だったが、松山商科大学の自由闊達な雰囲気の中で学び、柔道部に所属し、さらに少林寺拳法2段を取得して、心身ともに逞しくなったと言う。

卒業後は地元の愛媛県八幡浜市で就職しようと考えていたところ、不況の折、地銀を受験したが受からなかった。そのような時、アサヒペンで働いていた先輩から、塗料業界のことについて話を聞く。「将来性、社会性もある、味のある業界だ。」と聞き、塗料業界に興味を持ち、大阪の塗料メーカーを受験。8名の同期と共に入社した。

1年間大阪で営業をしたのち、東京工場の新設に伴い東京支店へ転勤となった。それまでは営業が3名、取引先は10件と小規模。それを新メンバーと一緒に取引先を100件まで増やし、4年後には上場を果たした。清水先輩は100件のうちの60件を開拓し、本社から、当時に5万円(現在の給与水準で換算すると約100万円)の社長賞をもらった。営業の秘訣を伺うと、「商品説明は3割、7割の世間話が大事。」と教えてくれた。世間話とは売りたい商品の説明だけでなく、お客様が聞きたいことを話す。そのために、ニュースや新聞、営業で得られるネタあらゆることにアンテナを立てて、経済の先行きやビジネスにつながる情報をお客様に提供した。

当時を振り返り、「毎日、朝8時から夜8時まで12時間、関東近辺を走り回っていました。訪問を終えて会社に戻ると、車の排ガスで顔が真っ黒になって、それを洗い流しました。大変でしたが、清水さんの話が聞きたいからとお客様に呼ばれることが嬉しかった。」と。しかし、もともと喘息気味だったこともあり、排ガスが原因で体調が悪化。さらに胃潰瘍になり、療養を余儀なくされた。会社側からは退職せず休職してほしいと言われたが、もし治ったら戻るからと会社を辞めた。

その後、奥様とお母さまの献身的な看病で復活し、32才の時に起業という形で再スタートを切った。前の仕事で、塗料を売ることが好きになり、自分には営業の力がある。自分で会社をやりたいと思い、奥様に相談した。3日間話し合い「あんたがやりたいと思うなら」と奥様が経理担当になり二人三脚で今の会社が始まった。起業に際して、取引先で鉢合うライバル塗料会社の担当者とも仲良くなっていたため、その人達に快く応援してもらえた。しかし、社員も雇えるようになって軌道に乗りかけた頃、配送中に大きな交通事故に合う。ガラスが頭に刺さる重傷で、眼球の動きが悪くなった。お客様と目が合わすことが出来なくなったことで、仕事は続けられない、会社をたたもうと思った。しかし、その時の配送員4名が「社長が治るまでお客様を守ります。」と言ってくれたおかげで今があると清水先輩は語る。

現在は会長となり、息子さんが社長に、娘さんがマネジャーとなり、2020年には「日本で一番大事にしたい会社大賞」を受賞した。校訓「実」(真実・実用・忠実)をモットーに社名を決めてした「三興塗料株式会社」は、調色での日本一を目指して今も成長し続けている。

 清水先輩から、これから社会に出る学生に向けてのメッセージをいただいた。「どうしたら役に立てるか。目的を持って働く社会人になることを目指してほしい。上司の言うことを良い意味で受け止め、同期とは仲間でありライバルであってほしい。目的を持って一日一日を充実させていると、人は光って見えます。」2023年に100周年を迎える松山大学には、「卒業生には営業力のある人がたくさんいる。そして多くの企業の経営者がいる。このような素晴らしい特徴を継続できるように教育を続けて欲しい。次の100年に向けて新たな一歩を踏み出して下さい。」とエールが送られた。

【取材の感想】
 戦後、マッカーサーの指示により軍事色を一掃するということから武道は全面的に禁止されており、3年次になってからやっと柔道ができるようになったことや、戦争で焼け残った講堂やしまばら食堂(学食)で過ごした学生生活を鮮やかに話していただき、タイムスリップしたように大学の歴史を感じることができました。まかないさんに対する感謝の言葉や、自分のことは謙遜しながら、同窓生の活躍は誇らしそうに話す清水先輩の姿に胸が熱くなりました。訪問した社屋には、社員の方の気持ちの良い挨拶、額に掲げられた社員とお客様を大切にする経営理念、温かい言葉であふれているホームページのマネージャーブログ、そして起業してからはお世話になった前の会社に迷惑をかけないように、営業エリアが被らない2時間以上も離れたエリアで取引先を開拓したといった数々のエピソード、そのすべてが三実(真実・実用・忠実)で満ちていました。インタビュー中、清水先輩が光って見えました。最後になりましたが、卒業して68年の時を経た今でも大学を思って、物心共にご支援いただき改めて感謝申し上げます。

https://sanko-tokyo.co.jp/company.html

【取材日】2022年12月15日

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