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2017年11月17日

新たに発見した血管周囲神経によって負担の少ないガン治療へ応用を目指す

腫瘍の成長に関与する血管拡張神経を新発見

人間の体中の血液量は常に一定で、状況に応じて必要とされる場所に移動させる、その重要な役割を担っているのが血管周囲神経です。私が取り組んでいるのは「腫瘍新生血管への血管周囲神経分布を介した抗腫瘍効果」についての研究です。

30年ほど前まで、血管周囲には血管を収縮させる交感神経のみが分布するとされてきました。しかし1988年に、血管周囲には血管を拡張する神経も分布していることを発見し、Nature誌に発表しました。この発表は従来の血管周囲神経の概念を変えたと自負しています。以来、血管周囲神経の機能と病気における役割について研究を重ね、腫瘍新生血管と血管周囲神経の関わりにたどり着きました。
 腫瘍が増殖するためには、腫瘍細胞に栄養を運んでくる新しい血管(新生血管)が必須です。しかし通常の血管と比べて新生血管はもろくて非常に破れやすく、しかも血管を収縮・拡張させて血流をコントロールする血管周囲神経がありません。
 細胞や組織に酸素が足りなくなると、その部分に向けて血管を伸ばしていく仕組みが人体には備わっています。腫瘍は常に酸素欠乏のサインを出し続ける組織なので、多くの新生血管が生成され、腫瘍細胞は十分な栄養を得て増殖していきます。私の研究は腫瘍にできた新生血管に神経を分布させて、その神経を通して血管を動かし、血管を丈夫にして血液の流れを調節し、腫瘍の増殖を抑制しようというものです。

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