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2019年05月08日

雇用ルール成立の背景にある合意形成を実証的に研究する

医療系専門職における労働市場の歴史研究

私の研究対象はプロフェッショナル労働市場で、最近は特に医療系専門職の労働市場の歴史について研究しています。賃金や仕事の配分、労働時間その他に関わる様々な雇用ルールが、どのような歴史的経緯を経て形成され、どのような機能を持ってきたのかに関心を持っています。医療系に興味を持ったのは、子どもの頃から祖父母のお見舞いで病院に通うことが多く、そこで働く人たちに接する機会が多かったことがひとつの要因になっているのかもしれません。大学では医療経済学のゼミに所属し、卒論は薬価の研究で論文を書きました。大学院では労働経済学界で功績のある先生に師事することになり、京都大学医学部附属病院でのワーク・ライフ・バランス調査の分析に参加しました。労働時間・働きがい・給与などに関するアンケート調査で、ちょうど女性が働きすぎて燃え尽き、退職してしまうバーンアウト・シンドロームに注目が集まっていた時期でもありました。
 この調査から、労働時間が過労死ラインを超えるレベルであったり、それに見合う給与を得ていなくても、患者から感謝されることでモチベーションを維持している、過酷な労働でも金銭では測れない職業倫理が国民の健康を支える上で機能していると感じました。これがきっかけとなって問題意識が広がり、医師だけでなくプロフェッショナルに分類される職業全体のキャリアを捉えるような議論ができないかと考え始めました。

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