クリックするとメニューが開きます
scroll
マツダイ最前線
FOREFRONT マツダイ最前線
2020年11月04日

個体に遺伝子を持たせ、集団内でどんな群れを形成していくのかシミュレーションする

擬人化集団を対戦させ、集団の構成変化を検証

両国にとって、状況Aが望ましいことはわかっているが、自分だけが「軍縮」するとBやCの状況になるのが恐いので、状況Dに陥る。

80年代に政治学者のアクセルロッドが、囚人のジレンマゲームにおいて、どういう戦略が有効なのか、コンピュータープログラムのトーナメントを行いました。そこで連覇したのが、ずっと協力していても相手が一度裏切ったらこっちも裏切りで返す、相手が協力してくれたらこっちも協力する、という「しっぺ返し戦略」です。その後コンピューターの精緻化が進んで、無限にゲームを繰り返すと、すべての可能性が出てきてしまうのですが、私はそれも違うような気がしていて。人間の行動パターンには傾向的なものがあるように思い、20年くらい前からその検証に取り組んでいます。
 コンピューター上に擬人化した個体の集団をつくり、お互いにゲームをさせて高い得点を出した個体同士をランダムに交配させます。遺伝子の進化のポイントは選択・交叉・突然変異であり、コンピューター上でそれらを行って進化させるというのが、遺伝的アルゴリズムのエッセンスです。50〜100人程度の集団に、例えば報恩(協力する)80%・報復(裏切る) 20 %というように確率を変えた答えを与え、遺伝的アルゴリズムを用いてシミュレーションすると、最初は報恩と報復の要素がバラバラですが、ゲームを続けていくと集団の構成が変化していきます。
 今までの研究で、〝報恩が報復を大きく上回る〞〝しっぺ返し〞〝報復ばかりで報恩がない〞〝報恩と報復が同じくらい〞というように、ある意味4つの領域を循環しつつも、それ以外のパターンがあることもわかってきました。遺伝的アルゴリズムによる突然変異で集団が変化していく様子について、いろいろ条件を変えながら見ています。

PAGE 1 PAGE 2 PAGE 3

PAGE TOP