クリックするとメニューが開きます
scroll
マツダイ最前線
FOREFRONT マツダイ最前線
2022年01月17日

中国の貿易収支やGVCの分析から国際競争力の本質を考える

経済成長率の低下と国際競争力との関係は?

中国はかつて日本より技術力が低いとみられていましたが、1997年に初めて中国を訪れた際、駅の施設や設備、車両などを見て、自分が想像していたよりもかなり進んでいたことに驚かされました。ちょうどその頃の中国は人件費の低さで諸外国から生産拠点として注目されていた時期でもあったので、なおさらです。中国は国内に入ってきた外国企業が持ち込んだ技術を模倣することから始まり、今やオリジナルの最先端技術を確立しています。実際に世界知的所有権機関がコーネル大学などと協力して発行している、世界各国の技術革新能力と実績を評価する「グローバル・イノベーション・インデックス2020」では、日本が16位、中国が14位という結果で、もはや日本を上回るほどのレベルに達しています。
 しかし、これまで急激に上昇していた中国の経済成長率がここ最近低下し、再び成長率を高めるためには、生産性の向上などを目的とした技術革新が必要になっています。でも、経済成長率が落ちたというこ
とは国際競争力や技術力が低下したということなのでしょうか?
 例えば身近なiPhone は様々な部品を集めて組み立てられ、最終工程は中国で行われるため「中国製」となっています。しかしiPhone本体には中国製の部品はあまり使われておらず、メイド・イン・チャイナであっても中国の技術力はあまり必要とされていません。しかし中国製のファーウェイは、日本も含む外国製の付加価値の低い部品が使用されているにも関わらず、高付加価値製品として高額で市場に流通しています。一概に経済成長率の低下と国際競争力や技術力の低下が一致しているとは言い難い状況です。

PAGE 1 PAGE 2 PAGE 3

PAGE TOP