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2016年10月31日

勤務医の年休未取得についての見解を示し 取得率向上に寄与するシステムを模索する

年休を取得しにくい医療現場の実情

研究は東大のSSJデータアーカイブや楽天リサーチなどを利用して収集したデータを解析する量的アプローチと、医師へのインタビューを中心とした質的アプローチの両面から進めていきました。インタビューに関しては、取材を申し込んでも97〜98%近く断られるなどの苦労もありましたが、医師の友人に知人の医師を紹介してもらうなど、協力してくれる方々の厚意に助けられながら研究を続けています。

まだ研究半ばではありますが、現在に至るまでにわかってきたことが数点あります。まず日本では医師たちの年休取得の権利は雇用先の病院ではなく、その病院の診療科ごとの専門職集団内のローカルルールによって決められていること。そもそも年休があることを知らない、医師も一人の労働者であるという認識が希薄であること。仕事量や人員不足などの多種多様な要因も複雑に絡み合い、年休取得の施策等がなかなか機能しない状態であることなどが挙げられるのではないかと推測しています。

これまでは日本の医師を対象に研究を続けてきましたが、様々に条件を変えて国際比較をしてみることで、これまでの一連の疑問に対する答えが見出せるものだと考えています。2016年4月からはタイのバンコク市を中心に、医師がどのように年休を取っているか、その制度や医師たちの意識は日本とはどのような相違があるのかなどについて、病院の理事や医師たちへの調査を始めました。

バンコク市の医師数は日本より少ないのに、きちんと年休を取れています。自分たちの権利をしっかり主張する国民性なのか、制度に違いがあるのか、それが明らかになったとき、日本の医師たちが年休を取得しやすい環境作りに応用できるのではないかと考えています。

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