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2017年06月01日

めまぐるしく転変する労使紛争処理制度がどのように機能しているか査察する

個別的労使紛争の解決は合理的に行われているか

不当解雇や雇い止め、長時間労働、残業代の不払い、各種ハラスメントなどのトラブルは、最終的には民事訴訟によって処理されます。30年くらい前から、個々の労働者と会社とのトラブルである「個別的労使紛争」が増加・頻発するようになりました。2000年以前は労使間トラブルを解決する方法は民事訴訟しかありませんでした。しかし労働者が個人で訴訟を起こすとなると、高額な費用、膨大な時間と労力がかかるなど、労働者にとっては不利益なことが多く、諦めざるを得ない状況も多く見られました。それらの問題点を解決するために、2000年に入ってから個別的労使紛争の処理に特化したあっせんや労働審判などの”訴訟ではない制度”がつくられました。2008年には、社会保険労務士会が運営する「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)」に基づく法務大臣の認証と、社会保険労務士法に基づく厚生労働大臣の指定を受け、あっせんにより、円満解決を図る民間型の社労士会労働紛争解決センターも運用を開始しました。受付日から1か月以内にはあっせんする日が決まり、原則として1回の手続きでトラブルを解決する制度で、双方にとって早期解決につながるメリットがあります。

労使紛争処理制度の代表的なものの一つに労働審判制度があります。これは個々の労働者と会社との間に生じた労働関係に関する紛争を、裁判所において迅速・適正かつ実効的に解決することを目的として設けられた制度で、訴訟ではないけれど相手方は申し立てがあれば、手続きに応じることを強制されます。まずは調停で和解を目指し、和解不成立のときは労働審判が下され、労働審判に当事者から異議が出れば、自動的に裁判に移行するため当事者は真剣にならざるを得ず、解決まで長い時間を要する裁判を最初から行うより早期に解決する可能性が高くなります。

しかし、まだまだ十分に活用されているとは言い難く、さらに労使紛争に関する法律や制度の改定も頻繁で、現場の人間でさえ理解していないこともたくさんあります。法律や制度の改正があるごとに、今までも様々な形で解説をしてきたつもりですが、引き続きそれらを広く周知していかなければならないとも思っています。

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