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2020年05月27日

食品・天然物由来の有益な成分を発見し、どのように作用するのかメカニズムを解析する

薬学の基礎研究として地域社会へ貢献していく

脳の神経細胞は常日頃から酸化、炎症、老化など様々なストレスに常に晒されていて、病院で認知症の診断を受けた時点で既に神経細胞はかなり大きいダメージを受けてしまっていると考えられます。現在使用されている認知症の薬は、残って頑張っている神経細胞から出される神経伝達物質の量を維持しようとするものですが、現在は様々な病態メカニズムをターゲットにしたこれまでとは違った新薬開発へのアプローチが、世界中で進められています。しかしながら、新薬の開発まではまだまだ時間がかかりそうな状況であることから、近年では神経細胞や脳内環境にダメージを与える物質の発生や蓄積を取り除き〝認知症を予防する〞ことも重要であると考えられています。そのためには、日々の食事であると考えられます。
 これまでに行ってきた研究で、河内晩柑の果皮および含有成分であるオーラプテンやヘプタメトキシフラボンには、脳内で起こる炎症反応や神経細胞死を抑制する作用があることを明らかにしてきました。私もメンバーとして加わっている河内晩柑プロジェクトチームですが、一緒に研究してきた学生や共同研究者の方々との研究成果の結集として、2018年には松山大学と愛媛県、愛媛大学、えひめ飲料が一緒に産官学連携で開発した、記憶力を維持する機能性表示食品「アシタノカラダ河内晩柑ジュース」を発売することができました。
 今後も、河内晩柑や含有成分を用いた研究以外にも、他の柑橘類や県産の農産物についても同様に研究してみたいと思っています。〝人の役に立つ〞を目標に置き、様々な食品成分や天然物の持つ生理活性機能について調べていくと同時に、健康維持や病気の予防に役立つような成分の探索、さらには地域と社会の貢献につなげていきたいと考えています。

特殊な方法で染色したマウスの脳の薄い切片を顕微鏡で観察し、脳のどこに・どのような変化が見られるのかを調べていく。

薬学部医療薬学科准教授
奥山 聡 OKUYAMA SATOSHI

略歴

1999年3 月 東京薬科大学薬学部卒業
2001年3 月 静岡県立大学大学院生活健康科学研究科食品栄養科学専攻 修士課程修了
2004年3 月 静岡県立大学大学院生活健康科学研究科食品栄養科学専攻 博士課程修了博士(食品栄養科学)
2004年4 月 静岡県立大学食品栄養科学部 客員共同研究員
2005年1 月 University of Saskatchewan(カナダ), College of Pharmacy and Nutrition, Postdoctoral Fellow
2007年3 月 University of Nebraska Medical Center(アメリカ),College of Medicine, Postdoctoral Research Associate
2009年4月 松山大学薬学部医療薬学科薬理学研究室 助教
2017年4月 松山大学薬学部医療薬学科薬理学研究室 准教授(現在に至る)

この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.205でご覧いただけます。

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089-926-7140

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