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2022年11月28日

特別刑法における条文の解釈方法を検討することで社会の秩序形成に役立てる

社会の変化に伴い犯罪の定義も変わる

私は、一般刑法以外の法律分野に刑罰が定められている場合には、条文の解釈方法を修正したり、その法律がカバーする分野の背景などを考慮に入れたりして〝独自の解釈をする必要がある〟と考える立場から、「特別刑法」について固有の解釈理論を研究しています。特別刑法が〝どのような行為を、どのような場合に違法としようとしているのか〟、その境界線をはっきりさせるため、過去の判例が今にも通じているのかを調べています。
 大昔の社会では、他人を騙して利益を得ることは当たり前に行われていましたが、時代が進むにつれて、良くないことだと認識され刑法に加えられました。経済成長が至上だった時代、大気汚染につながる行為は、現代とは違い、特に悪いこととは捉えられていませんでした。大きな社会問題になっている自動車のあおり運転やストーカー行為は、2000年以降に犯罪行為となりました。良くないこと、してはならないことや、犯罪の定義は時代によって変わっています。
 〝絶対してはならない行為の基準線〟を示すのが刑法という法律ならば、〝イジメ〟や〝嫌がらせ〟などは、その大半がこの基準線を超える刑法犯となり得るものです。世の中が変化していくに連れて、この基準線は徐々に範囲を変えていきます。その変化は「特別刑法」という形で立法されることが多いので、特別刑法の解釈方法を研究することは、社会秩序の形成にわずかながらでも役立てるものと考えています。

『行政刑法論序説』(今村暢好著)のほか、『川端刑法学の歩み』(明照博章、今村暢 好編著)、『法学部における学びの視点』(松山大学法学部編集委員会編)。『法学部 における学びの視点』は法学の入門書として、学生に向けて書かれたもの。

法学部法学科教授
今村 暢好 IMAMURA Nobuyoshi

略歴

2000年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2002年3月 明治大学大学院法学研究科 公法学専攻 博士前期課程 修了
2007年4月 明治大学法学部 専任助手
2009年4月 明治大学法科大学院 教育補助講師
2011年3月 明治大学大学院法学研究科 公法学専攻 博士後期課程 履修単位修得退学
2011年4月 松山大学法学部 専任講師
2012年4月 松山大学法学部 准教授
2020年4月 松山大学大学院法学研究科 准教授を兼任
2022年10月 松山大学法学部 教授

この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.215でご覧いただけます。

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089-926-7140

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