クリックするとメニューが開きます
scroll
マツダイ最前線
FOREFRONT マツダイ最前線
2023年01月23日

必要な時に必要な量を、狙った部分に正確に薬を届ける薬物送達システム

各個人に最適化されたテーラーメイド医薬品

DDS分野を含む製剤学という領域は、新しい物質を発見することはないものの、既存の添加剤の組み合わせで製剤に新規機能を発揮させたり、製造プロセスを見直したりすることで、より簡便に製剤の調製が可能になるところなどに面白さがあります。例えば、成育医療等基本方針の骨子案にも含まれる小児用製剤に応用が可能なミニタブレット(直径1〜4ミリ程度の小粒錠剤)や、3Dプリンターによる製剤の調製などもその一部です。日本には小児用に開発された薬はほとんど存在せず、成人用の薬剤を流用する場合がほとんどですが、ミニタブレットは数によって投薬量を調整しやすく、顆粒や液剤などより処方しやすいことがメリットです。しかしサイズが小さいため、1錠あたりに含まれる有効成分に偏りが生じるなど、標準的な錠剤よりも調製過程上の課題が挙げられており、今後さらに検討を進めていく必要があります。3Dプリンターによる製剤は、ヘッドから薬を含むフィラメントを熱で溶かしながら押し出し、それを繰り返し積み重ねて成形していきます。積み重ねる形状や密度を変えることで患者の年齢、性別、体重などに合わせた薬物放出特性を有する錠剤をつくることが可能となり、3Dプリンターによる薬剤製造技術の検討は、テーラーメイド医薬品の開発につながると考えられます。製剤も途中のステップを省くことができればコストを削減でき、SDGsの取り組みにも貢献できます。今後は製剤の調製に関する研究に加え、地域医療施設などと連携した共同研究などの実施も視野に入れつつ、患者の使いやすい、有効性と安全性が保証された医薬品が社会に提供される一助となる研究ができればと考えています。

薬学部医療薬学科教授
坂本 宜俊 SAKAMOTO Takatoshi

略歴

1996年  9月 東京薬科大学薬学部 助手
2004年10月 東京薬科大学大学院薬学研究科 大学院助手
2006年  4月 松山大学薬学部医療薬学科 講師
2010年  4月 愛媛県立医療技術大学保健科学部 非常勤講師(2014年3月まで)
2017年10月 松山大学薬学部医療薬学科 准教授
2020年  4月 松山大学大学院医療薬学研究科 准教授
2021年10月 松山大学薬学部医療薬学科 教授(現在に至る)
      松山大学大学院医療薬学研究科 教授(現在に至る)

この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.216でご覧いただけます。

PAGE 1 PAGE 2 PAGE 3

このページに関するお問合せは下記までお寄せください。
入学広報課
電話
089-926-7140

RECOMMEND おすすめのページ

PAGE TOP