
自由への渇望が生んだ「越境」の営みから 現代のアメリカ社会が抱える問題に迫る
境界線を越えることで自己も他者も理解できる
母国の文化はネイティブでなければ、分からないこともたくさんありますが、逆にネイティブが見えていないことや、時には無意識に隠ぺいしようとしている事実も、外部の人間だからこそ見えることが必ずあります。学生たちにとってアメリカ文学・文化を学ぶということは、他の学問と違って、初めから母国以外の言葉や文化に挑むという大きな壁がありますが、それは強みでもあるのです。さらに他者を理解しようとする姿勢や、海外へ留学して、今の自分の環境を客観的に見る視点を身につけることは、ヘイトクライムが問題となっている現代社会において、とても重要なことです。自分たち以外のものを排除するのではなく、もどかしいながらも境界線を越えようと努力する姿勢を、社
会でも活かしてほしいです。
人文学部英語英米文学科 教授
辻 祥子 TSUJI Shoko
略歴
京都府生まれ
1990年 神戸大学 文学部 卒業
1993年 お茶の水女子大学大学院 修士課程修了
1997年 お茶の水女子大学大学院 博士課程単位取得
1997年 松山大学人文学部英語英米文学科講師、准教授を経て
2012年 松山大学人文学部英語英米文学科教授
2011年~12年 米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校、コロンビア大学に客員研究員として在籍
近著
Melville and the Wall of the Modern Age(共著) 南雲堂/ 2010年
『カウンター・ナラティヴから語るアメリカ文学』(共著) 音羽書房鶴見書店/ 2012年
『越境する英米文学』(共著) 音羽書房鶴見書店/ 2014年
『越境する女』(共編・共著) 南雲堂/ 2014年
『ピーボディ姉妹』(共訳) 南雲堂/ 2014年
辻教授の近著 Melville and the Wall of the Modern Age(共著)、
『越境する英米文学』(共著)、
『越境する女』(共編・共著)、
『ピーボディ姉妹』(共訳)
この記事は松山大学学園報「CREATION」NO.184でご覧いただけます。