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図書館

第23回(2023年度)松山大学図書館書評賞

受賞者<2023年12月1日発表>

2023年度応募要領

最優秀書評賞:該当者なし

該当者なし

優秀書評賞:宮岡 優奈さん(人文学部社会学科1年次生)
「野火」 大岡昇平 著
出版社:新潮社 出版年:1987 請求記号:081||S 15||652(3)
 

「あの人は狂っている。」
 誰もが一度は、映画やドラマで聞いたことがある言葉だろう。あるいは、実際に誰かに対してそう思ったことがあるという人もいるかもしれない。それでは、狂っていると形容される人は、どのようにしてそこに至ってしまったのだろうか。本書には、極限まで追い詰められた人間がいかにして狂気に陥っていくのかが、写実的に表されている。
 本書は田村という平凡な日本軍兵士が、敗戦間近のフィリピンのレイテ島で、狂人になるまでの過程を記したものだ。田村は結核を患ってしまい、本隊を追い出され、病院からも見放されてしまう。そして彼は、極度の暑さと飢えに襲われながら島をさまようことを余儀なくされる。そして、自分の血を吸った蛭を食べ、人間の肉だと分かっていながらもそれを口にするようになってしまう。筆者は実際に戦争を経験した人物であり、戦地での描写や会話の一つ一つが生々しく描かれている。
 本書では「偶然」という言葉が多く用いられている。ある日田村は島をさまよう中で、一般人の女性を手にかけてしまう。彼は「偶然そこにいたから」と簡単に片付ける一方で、最後まで罪の意識を捨てることはできなかった。このようないくつもの不条理の経験が、彼を徐々に狂わせていく。そして現代に生きる我々も、たくさんの不条理の中で存在していると言える。私たちは「偶然」この世に生まれ、いつかどこかで「偶然」死ぬという不条理の間で生かされているということに過ぎないのではないかと感じざるを得ない。
 本書を読んで、狂気とは極限の状況下に適応するための力であり、人の根底にある生存本能のようなものではないかと感じた。狂気は我々にとって縁遠いものではなく、我々の奥底で眠っているだけなのだ。そしてたくさんの不条理にあっていく中で、狂気を呼び覚ます人がいるのではないかと感じた。本書は、田村の戦争体験を通して、私たちに不条理の中で生き抜いていくための術を示唆している。ぜひ多くの人に読んでほしい一冊だ。

 

審査委員による講評

法学部准教授 甲斐 朋香

評者ならではの個性的な文章表現…というスタイルの書評では決してありませんでしたが、非常に手堅く、素直な筆致で書かれています。易々と読み進められるようなものではないこの作品を手に取り、真摯に向き合った形跡が見られ、好感が持てました。
 この『野火』という作品が最初に文芸雑誌に発表されたのは、まだ第二次世界大戦の記憶も生々しく残っていた1951年のことだそうです。それから約70年、刻々と移り変わる社会において、この作品がこれまで読み継がれてきたことの意味、そして、ウクライナやガザ地区において戦争・紛争が続く2023年の日本社会においてこの作品に光を当てる意味、といったことについても、ぜひ、考えてみてください。

佳作:十万 夢月さん(経済学部経済学科3年次生)
「僕の狂ったフェミ彼女」 ミン・ジヒョン 著
出版社:イースト・プレス 出版年:2022 請求記号:929.13||Bi
 

「僕の狂ったフェミ彼女」。タイトルのインパクトの強さが目を引く本書は、フェミニストになってしまった元彼女と元彼女をフェミニストから脱却させ、可愛かった昔の彼女に戻し、復縁しようとする主人公「僕」の物語だ。フェミニストと聞くと、厄介な人たち、関わりたくない、と多くの人が思うだろう。主人公も同じようにフェミニストなど厄介なだけの存在だと、どこか見下したところがあり、関わりたくないと思っている。しかし、フェミニストになる前の可愛い彼女との結婚を考えた主人公はフェミ彼女と深く関わらなければいけなくなる。
 本書はタイトルやあらすじを見ると、フェミニストになにかしらの偏見がある読者が読むと主人公に共感するに違いないと思われる。彼女の主張には納得できないところがあるはず、主人公の説得には大いに同意するところがあるはずだと。しかし、実際読んでみると主人公にも共感できず、読了後はむずむずした気持ちになる。
 主人公は作中、常に彼女を女の子らしく可愛かった頃に戻すことばかり考えている。今の彼女の持つフェミニスト的考えは理解できないと一蹴し、自分の良いと思うことばかり彼女に勧め続ける。彼女の前では理解すると言いつつ、本当に知ろうとしない主人公に彼女は呆れる。彼女が職場でセクハラをされていることを話した時も主人公と彼女の論点はずれていた。その日彼女はセクハラをしてくる仕事相手の前で女性らしい服を着ることに嫌悪感を抱き、ボーイッシュな服装で仕事に向かった。すると、女性らしい綺麗な服装をしてこいと上司に咎められた。仕事場でセクハラ被害を訴えてもなかなか信じてもらえるような雰囲気はないため、彼女は自衛をしようとした。それを咎められるのはおかしいと彼女は言いたかったのだが、主人公は自分の彼女にセクハラをするとは何事か、その仕事相手が許せない、彼女は自分が守るのだ、と言うばかりで少し話の論点がずれていた。
 実際、フェミニストから見た世間も彼女から見た主人公のように思えるのかもしれない。私たちフェミニスト以外が彼女らの主張に反論する際、根底には女性は女性らしさを重んじるべきだという無意識の常識を持っているのかもしれない。本書では、主人公だけでなく彼女にももちろん至らない部分はある。この二人は世間のフェミニストとそれを批判する人との関係を描いている。この二人がお互いを知り、上手く関係を築くにはどうすれば良いのか、本書を読み、考えてもらいたい。自分たちが「僕」であれば、彼女にどう向き合うのかを。

 

審査委員による講評

法学部准教授 甲斐 朋香

韓国でも日本でも、話題作となったという本書。韓国の若者のジェンダー観や恋愛観、結婚観がリアルに描かれていると評判です。
 世界経済フォーラム(WEF)が発表した2023年版「ジェンダーギャップ・レポート」の男女平等度ランキングで、日本は146か国中125位、韓国よりもランキングが低いのだそうです。そんな日本の中でも保守的だといわれるご当地・愛媛で今、学生生活を送っているアナタが、「フェミニストと聞くと、厄介な人たち、関わりたくない、と多くの人が思うだろう」と思いながらもこの小説を手に取り、「主人公にも共感できず」「むずむずした気持ち」を抱えつつも最後まで読み通し、ついには、この小説について書評までも書いてしまった―それは何故だったのでしょうか?ひょっとしたら、韓国でも日本でも、あるいはこの小説が翻訳出版されたほかの国々においても、アナタと同じような気持ちの変化を体験した読者が少なからずいたかもしれませんね。あるいは逆に、それぞれの読者が置かれてきた・置かれている環境によって、同じ作品でも違う響き方をしているかもしれません。たとえばそんな想像を膨らませてみるのも、読書の楽しみのひとつだと思います。
 欲を言えば、「僕」と「彼女」の関係のみならず、両者のすれ違いの根底にある「社会」のありようについても少し目を向けてもらえたら、さらに良かったかもしれませんね。

佳作:神宮 ゆい さん(人文学部社会学科1年次生)
「元FBI捜査官が教える『情報を引き出す』方法」 ジャック・シェーファー, マーヴィン・カーリンズ 著
出版社:東洋経済新報社 出版年:2022 請求記号:361.454||Sc
 

「自分の声にもっと耳を傾ければ、おのずと口数は減るものだ」
 これは、本書の冒頭に記されるエドワード・A・マーフィー・ジュニアの言葉である。
 著者はこの言葉で何を伝えたいのだろうか。本書を読み進めていけば、きっとこの言葉の意味を真に理解することができるだろう。それに加え、あなたは見ず知らずの相手から、生年月日、暗証番号、社会保障番号、銀行口座の情報、パソコンのパスワードを入手できるようになっているかもしれない。
 本書の目的は読者に「情報を引き出す方法」を伝授することである。3部構成になっており、相手から情報を引き出す方法を順に挙げることによって、すべて読み終えたころに読者が相手から情報を引き出せるテクニックを身につけられるようになっている。
 まず、「情報を引き出す」上で重要なことは、相手と信頼関係を築き、好印象を与えることだという。例としてシャルフの尋問テクニックというものが紹介されている。このシャルフの尋問テクニックにおいてのキーポイントは、相手に尋問だと思わせないということである。相手と気さくなコミュニケーションをとることが情報を引き出すカギになるようだ。
 その他に、「無知なふりをすること」「共感を言葉で表現すること」「推測を述べること」が「情報を引き出す」上で重要であり、これらを組み合わせて使うことで相手はつい専門知識をひけらかして情報をもらすという。「無知なふりをすること」「共感を言葉で表現すること」は文字どおりであるが、「推測を述べること」というのはどういうことだろうか。それは、推測を述べることによって、もしそれが正しければ相手は追加情報までを教えてくれ、間違っていれば間違っている理由を詳しく教えてくれる、という心理的傾向を利用したものだ。
 本書において、「情報を引き出す方法」というのは主に人間の心理的傾向を利用したものであるが、心理学に精通している人に対する対策について述べていないことがこの本の欠点だろう。連続殺人鬼の古谷惣吉という人が「愚者は喋り、賢者は聞くという。言わぬが花だ。」という名言を残しているが、この本を以てしても彼は口を噤むことができるであろうか。本書に関してもう一つ批判するとすれば、こういった殺人鬼だけでなく、一般の善良な人間の情報をも盗めるテクニックをたった1600円で与えてしまうということである。
 しかし、本書を読むことによって手に入れられるものは「情報を引き出す方法」だけではない。「情報を引き出されない方法」をも手に入ってしまう。さて、マーフィー・ジュニアの言葉を引用し、著者が伝えたいことがなんとなく理解できたのではないだろうか。現実だけでなく、SNSやインターネット掲示板などで顔も年齢もしらない赤の他人とコミュニケーションをとれる時代、とらなければならない時代。本書は現代を生きる人々にとって役に立つ一冊である。

 

審査委員による講評

経済学部教授 伊藤 直

「情報を引き出すテクニック」を教えると称する、どこか危険な香りも漂う書籍に着目した時点ですでに、この書評は異彩を放っている。筆者は、プロの捜査官による心理学的なクラッキング技術をまずは紹介したのちに、悪用も可能なこうした専門的技術を明快に教示した同書の危険性を鋭く批判してもいる。だが、そのうえで、同書を通じて「情報を引き出す方法」のみならず、「情報を引き出されない方法」をも手に入れることで、現代の情報化社会を生き抜くための実践知とすべきだとの結論に到達している。一冊の本が併せ持つ肯定的な面と否定的な面、薬と毒、光と影の両者を視野に入れながら、文章全体が弁証法的に構成ないしは推敲されており、「書評」というよりも「批評」を思わせる。批評家の目をした筆者が他の本を分析した場合はどうなるのか、今後が楽しみである。

佳作:鈴木 瑠南さん(法学部法学科3年次生)
「世の中は偶然に満ちている」 赤瀬川原平 著
出版社:筑摩書房 出版年:2015 請求記号:915.6||Ak
 

運命とは本当にあるのだろうか。人生において多くを占めるのは運命ではなく、偶然ではないだろうか。私たちの人生そのものは「偶然の集まりでできている」と言っても過言ではないのではないか。
 例えば、「今あなたが松山大学に所属していること」、これも偶然なのではないか。今年度松山大学は創立100周年を迎え、その在校生または職員として所属しているあなたはまさに偶然という渦の中にいるのではないだろうか。私たちはこうした身近な「偶然」に気がつかないで毎日を過ごしている。本著では、「芥川賞」を受賞した赤瀬川原平氏の “とあるテーマに絞られた” 日記が30年分記されている。
 そのテーマとは「偶然」と「夢」である。私自身も日記を書き始めて9年目になり、「夢日記」を書いたことはあったが、「偶然」に着目をして日記を書くという発想はなかったため面白いと思い、本著を手に取ることにした。
 結論から言うと、「作家だから素晴らしい経験ばかりしている」と思っていたが、必ずしもそういう訳でもなかった。彼の「偶然日記」は私の感覚からするとただの日記にすぎなかった。しかし、普通の生活をしていると気が付けない、気にも掛けないことに着目をしている点は、やはり凄いなと思った。「偶然日記」の中で、彼は頻繁に移動の際に友人と出会い、それから食事へ行き、それらが新たな偶然へとつながっていた。これは彼が多くの友人がいることを示すとともに、常に「今日の偶然」を見つけようとしている姿勢を示唆していると思う。現在多くの人々は移動の間、携帯電話にばかり着目し現実の世界を見ることができていないのではないか。携帯電話の中のネットの社会に「偶然」は転がっていない。それは完全に人間が作った世界だからだ。ビッグバンという偶然が創り出したこの世界をじっくり見る時間も必要なのではないだろうか。
 彼が、偶然をテーマとして描いた「舞踏神」は「偶然というものには恐れ入る。ある似たような2つの出来事が、たまたま同じ時に重なったりする。そこに何の意味もないし関係もないのだけど、何かキラッと光るものを感じてしまう。といってその光るものが何であるのかわからない。ふつうの生活でも偶然はピカッ、ピカッと光っているが、人が死んだときなどにはそれがとくに多いようだ。」と始まる。松山大学が創立された1923年は関東大震災が発生したり、虎ノ門事件が起きたりした年である。虎ノ門事件は関東大震災による社会不安が原因で起きたテロであり、関東大震災という「偶然」が作り出した事件と言っても過言ではない。
 松山大学に着目をしただけでも、多くの偶然がある。では、あなたの今日は?過去は?将来は?
 私たちの人生には多くの偶然が満ちている。本著はあなたの身近で、小さな偶然を見つけるヒントになる1冊である。そして、あなただけのキラッと光る偶然を集めていき、実りある人生を歩み続けてほしい。

 

審査委員による講評

経済学部教授 伊藤 直

芥川賞作家であり、一世を風靡した「超芸術トマソン」の概念の提唱者でも知られる赤瀬川源平。この書評は、鬼才の作家が「偶然」と「夢」をテーマに記した30年分の日記を、「運命」と「偶然」という対立軸に沿って読み解く意欲作である。基本的に人間は無意味や不条理を嫌う。だから予期せぬ事象が生じても、それに後付け的な意味を与えて、あたかも必然的な運命だったとも解釈しがちだ。だが、刹那のきらめきのように偶然が立ち現れる瞬間へと目を向けるならば、世界や人生が実は予定調和でなく偶然を常に孕みながら、その都度豊かに作られていることが実感できる、筆者はそう分析し、新たな世界へと私達を誘う。もう一つのテーマである「夢」に踏み込んでも面白かったかもしれない。夢の内容を「偶然」の産物とするか、無意識の「必然的」な構造の現れとするかは、現在でも大きな謎であり続けているのだから。それ以上に筆者自身もまた、夢日記の書き手であるとのことなのだから。

佳作:仙波 伊世羽さん(人文学部社会学科1年次生)
「孤島の鬼」 (江戸川乱歩作品集1/浜田雄介 編) 江戸川乱歩 著
出版社:岩波書店 出版年:2017 請求記号:081||I 6||31-181-4
 

江戸川乱歩は大正から昭和初期に名をはせた探偵小説家である。そんな乱歩が、当時は理解が進んでいなかった「同性愛」を織り交ぜた小説を書いていたことを知った。それが本書である。昭和初期の文学に描かれる「同性愛」とはどのようなものか、きっと誰もが興味をそそられるだろう。
 本書は、主人公であり語り手の蓑浦を中心に巻き起こった殺人事件の謎を解明していく物語である。蓑浦は同じ勤め先の社員である木崎初代と恋仲であった。ところが、突然、蓑浦に恋心を寄せる男性である諸戸道雄が、初代への求婚活動を始めたのである。そのさなか、初代が何者かに不可能に近い方法で殺された。蓑浦は初代を心から深く愛していた。それゆえに、初代の遺灰を食べ、強い復讐心に燃えた。そこから犯人探しを始めた蓑浦だったが、蓑浦とともに犯人を捜していた深山木幸吉もまた、何者かに白昼堂々殺されてしまった。そこで蓑浦は諸戸に犯人の疑いをかけ、諸戸の家に訪れるが謎は深まるばかりであった。そして、二人は真犯人の邪悪な陰謀に巻き込まれて行くのであった。
 物語が進み、蓑浦と諸戸は生死をさまよう経験をともにした。しかし、最後まで蓑浦への諸戸の恋心がかなうことはなかった。また、諸戸の愛情に理解を示すことができない蓑浦の心情がこと細かに表現されていた。こういった点で、昭和初期の同性愛に対する考えは、やはり厳しかったとうかがえるのではないだろうか。さらに、身体障がい者の差別によって生まれた恨みや、加害者家族の葛藤、性的虐待など、現代にも通ずる問題が登場する。多くの人が読み、これらの問題について考える機会を増やしてほしい。
 本書は探偵小説であるため、少しずつ謎が解けていくことに快感を覚え、謎の点と点が全てつながるという巧妙な展開に胸が躍ることだろう。あわせて、主人公の味方をしたほとんどの者が幸せな結末を迎えており、読後は少しの切なさと、安堵を味わうことができるだろう。ぜひ、江戸川乱歩の世界観を楽しんでほしい。

 

審査委員による講評

人文学部教授 市川 正彦

かの筒井康隆が、江戸川乱歩の最高傑作としている(『みだれ撃ち瀆書ノート』集英社文庫P.239)のが本作品である。同時に、男性同性愛を描いた異色作でもある。本書評では、こうしたことが抑えられた上で、内容紹介に進んでいる点が良い。推理小説やSFの書評は、ネタバレしないように作品内容と作品の魅力を伝えなければならない点が難しい。本作は、その点、まずまずの出来と言える。しかし、「最後まで箕浦への諸戸の恋心がかなうことはなかった」「主人公の味方をしたほとんどの者が幸せな結末を迎えており」は、余計である。こうしたことがあらかじめわかっていたら、読む者は興を削がれる。今後、書評を執筆する機会があれば、注意してもらいたい。

全体講評

人文学部教授 市川 正彦

今回の書評賞は、応募作が42本にのぼり、前回の26本を大きく上回りました。このことは、たいへんよい傾向であると考えます。しかし、応募作の中には、書評の対象に値する書籍なのかどうか疑問なものも含まれていました。評価に値する書籍を選ぶところから書評は始まっていると考えてください。また、おススメ本の紹介の域にとどまる応募作も多く見受けられました。その中で、審査委員の厳正な審査の結果、優秀賞1作品、佳作4作品を受賞作に選出しました。書評は読書感想文とは異なります。本の単なる内容紹介と感想にとどまらずに、対象書がその領域や著者の著作群の中でどのような位置を占めるのかまで踏み込んで論じ、どの点が優れている著作なのかを指摘してもらえると、評価が高まると考えます。そのような書評を執筆するためには、ふだんから多くの本に接することが肝要だと言えます。来年度以降、優れた作品が多数応募されることを願っています。

表彰式

第23回松山大学図書館書評賞表彰式2023年12月11日(月曜日)12時00分から東本館7階会議室1にて、第23回松山大学図書館書評賞表彰式を開催しました。

同図書館書評賞は教育活動の一環として、(1)学生の読書推進、(2)論理的文章を書く能力の養成、(3)文化・知的空間として大学を活性化させることを目的に、平成13年度から始まった制度で、今回は42篇(40名)の応募の中から優秀書評賞1篇、佳作4篇が選ばれました。


 新井英夫学長から受賞者一人ひとりに表彰状と副賞が手渡され、「本学の学生にこのような書評を書く力があるということを誇りに思います。読書というのは”自分の人生を豊かにする”ものです。今後も書評活動を通じて様々な本を紹介していただきたいと思います」との言葉が贈られました。続いて、神谷厚徳図書館長からは「これからも読書の価値を意識しながら本学の読書推進の牽引役となっていただけるよう願っています」との祝辞がありました。また、審査報告では「書評というのはその対象の本を一冊読めば書けるというものではなく、広くその領域に関する知識や読書の積み重ねが必要となってくるものです。ますます読書に励んで色々な知識を身につけてください」との市川正彦審査委員長からの言葉があり、その後、審査委員より受賞者に向けて講評が述べられました。

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