あいさつ
社会を、大学を変えよう
本学は、1923年に松山高等商業学校として創立されました。戦後は、松山商科大学として、経済・経営系の単科大学として歩んできました。そうした中、進学率の高まりを背景とし、地域の要望に応えるため、新たな学部として人文学部が1974年に設置されました。この人文学部開設は、今日の総合大学としての松山大学へ至る、飛躍の第一歩となるものでした。その後も、法学部、薬学部が開設されていき、昨年(2023年)は松山大学創立100周年を祝うことができました。そして、今年度(2024年)は、人文学部創設50周年という記念すべき年を迎えることとなりました。
人文学部は、創設時から今日まで、英語英米文学科と社会学科の2学科体制でこれまで歩んでまいりました。その中で社会学科は、社会学の世界では、教員の数や研究水準から中四国における社会学の基幹大学との評価を得ています。2020年は、残念ながら新型コロナウイルス騒動のためにオンライン開催となってしまったということはあるにしても、日本社会学会の大会開催校でありました。
本学の社会学科の特徴は、第1に少人数教育があげられます。1年生の基礎演習、そして2年生後期から始まる専門教育の演習も、教員との距離が近い少ない人数で行われています。それのみならず、講義形式の授業でも、他学部と比較して受講人数が100名以下に抑えられている課目が多く、恵まれた環境にあると言えます。近年では、講義中に集団討論や学生の発表の機会を設け、学生が主体的に参加できるように工夫した授業を行う教員も増えています。ぜひ積極的に、そうした機会を活かしてください。
第2の特徴は、社会学専門の教員が多いので、理論、メディア、家族、地域、環境、格差と貧困、社会福祉、エスニシティ、社会病理、社会心理、エスノメソドロジー、歴史的変動等々、社会学の多様な分野が学べるということがあります。2年生になって演習を選ぶ際に、自分が興味関心をもっている専門領域や隣接領域を研究している教員が、ほぼ存在すると思われます。
第3に、社会調査の技法を学ぶことができます。2年生の時には、「社会調査方法論」という課目を必修で学び、社会調査の基礎を身につけてもらっています。また、調査票(世間でいう「アンケート」)を用いて収集したデータを統計的に分析する能力を養うための課目を置いています。最近では、聞き取りや観察という技法を用いて社会事象に深く迫る質的調査の教育にも力を入れるようになっています。さらに、実際に学生が社会調査を行う「社会調査実習」という課目を設け、「社会調査士」という資格を取得できるカリキュラムになっています。
社会学も、学生の要求も絶えず変化していると思っています。現在の状態に安住せず、よりよい社会学教育を、教員一同、目指していきます。学生からも、どしどし要望を出していただき、共によき大学、よき社会学科をつくっていきましょう。
社会は変わります。1980年代の日本は、「一億総中流」が言われ、国民1人当たりのGDPでアメリカと肩を並べ世界で最も豊かな国となりました。また、ベルリンの壁は崩れ、ソ連が消滅して東西冷戦が終結し、平和な世界がやってくると思われていました。「経済一流・政治三流」と言われ、大きな問題は政権党の金権政治だと考えられていました。その後の30年で日本は、「格差社会」が問題視され、国民1人当たりのGDPで韓国に抜かれ、しかも自然災害が多発し、少子高齢化、地方消滅が憂慮される社会となってしまいました。また平和どころか、世界各地で戦乱が生じています。変わらないのは、金権腐敗の政治だけです。どうしてこうなったのか、世の中を自分の眼で見て、感じて、調べて、考えてください。そして、社会を変えていくことに、実践的に関われるような人材となってください。われわれ教員も努力します。
人文学部長 市川 正彦
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